近年、地球規模の脱炭素のために政府と民間で様々な取り組みがなされています。企業レベルでも環境問題や省エネに関する求人が増えており、新たなキャリアパスも形成されつつあります。今回は省エネ関係の民間資格である、省エネ環境診断士をご紹介します。
省エネ環境診断士とは
省エネ環境診断士とは、一般社団法人省エネ環境推進機構が認定を行っている民間資格です。地球温暖化対策推進法が制定され、年々省エネや脱炭素への注目が高まっています。この際、温室効果ガスを多量に排出する企業には温室効果ガスの排出量を算定し国に届け出ることが義務化されているなど、一般企業への義務が課せられるケースも出てきています。
そのような状況の中、省エネに関する知識を持った人材の需要が高まっており、省エネ環境診断士などの民間資格が創設されています。一方で、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)において有資格者として記載できる資格者は国家資格であるエネルギー管理士とエネルギー管理員であり、省エネ環境診断士は有資格者とはみなされていませんので、エネルギー管理士のように資格を取得すると有利な点がある訳ではありません。
省エネ環境診断士の資格取得難易度
省エネ環境診断士の資格を取得するためには一般社団法人省エネ環境推進機構の開催する講座を受講する必要があります。その後検定試験を受け、合格した際に省エネ環境診断士の認定書が発行されます。
資格の難易度ですが、試験内容や受験者数、合格者数、受験者の属性などの情報が少なく難易度の客観的な判断が行えませんでしたが、これまでにサポートしてきた転職者に聞いた限りでは、エネルギー管理士に比べて取得の難易度は低いとのことでした。
省エネ環境診断士の市場動向と求人情報
省エネ環境診断士は民間資格であり、国家資格ではありません。従って、独占業務や名称独占など国家資格のような優位性はありませんが、省エネ環境診断士を取得すると省エネに関する勉強を行い、知識を身に着けたという一定の評価が得られます。しかし、難易度が不明のため、どのレベルの知識を習得し、実際にどのような業務で習得した知識を活かせているのかがわからないため、その重要度は今後の省エネ環境診断士たちの活躍次第と言ったところでしょう。
市場動向としては、転職の際のアピールになるとは思われますが、資格取得者を対象とした求人があるわけではなく、取得者を積極的に採用すると言うこともありません。
省エネ環境診断士の年収と給与相場
省エネ環境診断士の年収はデータが集まっておらず、算出は難しい状況です。一方で、国家資格であるエネルギー管理士の給与相場が年収500万円前後であることを踏まえると、省エネ環境診断士はこの年収よりも安いことが考えられます。
省エネ環境診断士と転職:成功事例の紹介
省エネ関係の職種で転職を行う際、省エネ環境診断士と言う資格を前面に出して転職活動を行うのではなく、飽くまでこれまでのキャリアのサポート的にアピールして転職活動を行います。省エネ環境診断士の資格を持っている方は少なく非常にレアなケースですが、以前サポートした方は別のしっかりしたキャリアをお持ちでしたので、こちらのキャリアを前面にアピールして転職活動を行いました。環境問題の意識が高かったので、大手企業の温室効果ガスのサプライチェーン排出削減に関わる部署への転職に成功されています。
省エネ環境診断士のキャリアアップの秘訣
省エネ環境診断士の資格は省エネ関係の職種に転職を行う場合や、知識を得るための第一歩としては取得する価値があるのかもしれません。しかし、キャリアパスとしてはその先の国家資格であるエネルギー管理士や、一般財団法人省エネルギーセンターが実施するエネルギー管理講習を受講し修了した人が選任される、エネルギー管理員を目指すことが省エネ関連職におけるキャリアアップの秘訣であると考えられます。
まとめ
省エネ環境診断士は省エネに関する知識を習得するためには有用な資格と言えます。しかし、取得したからと言ってすぐに転職できるわけではありません。飽くまで省エネに関する職種のキャリアパスの第一歩として取得する資格と言えます。